おみパ「雪下さん」(9) やっぱり別れ際の……

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

雪下さんとの次のデートは鎌倉に決まりました。

カメラを持って鎌倉散策。

「メイン機はSONYなんですけれど、手放していないカメラがほかにもあるので、それも持っていきます。綾香さん、よかったら使ってみて下さい」

コンデジしかもっていない私に雪下さんはそう言ってくださいました。

もちろん遠慮したのですが、雪下さんは

「壊してしまってもかまいませんので。まあ、ちょっとぶつけたくらいじゃ傷くらいしかつかないので大丈夫ですよ」

と言ってくださいました。

なので、素直に厚意に甘えることにしました。

 

「そういえば、時間は大丈夫ですか」

と、時計を見て、雪下さんがおっしゃいました。

実は私、「夕方から予定がある」と言って、美術館へのお誘いをお断りして、食事だけにしたのです。

本当は予定なんてないんですけれど、その時は会うのがとっても憂鬱だったんです。

でも、実際に会ってみると、雪下さんは落ち着いていて優しく、話も面白いです。美術館くらい行ってもよかったかなぁ、なんて少し後悔しました。

「もう少し大丈夫です」

と答え、しばらくスマホ片手に鎌倉のどこに行くかという話で盛り上がりました。

 

レストランを出て、私たちは駅で別れることになりました。

「綾香さん。今日はありがとうございました。これ、最初にあった時にお話しした僕の感銘を受けた本です。綾香さんも興味があるようでしたので持ってきました。よかったら読んでみてください」

そういって、雪下さんはカバンの中から袋を取り出し、私に差し出しました。

 

そういえば本の話も少ししたかもしれない、もううろ覚えだけれど。

 

差し出されたのは、かわいらしいショッピングバック。

本を貸してくれるのかな、と思って、私は戸惑いながらも受け取りました。

「不要であれば捨ててください」

そういわれて「えっ」と思って、袋の中を確認してみると包装紙に包まれた長方形の物体が入っているではないですか!

私の口から出てくる言葉を予想したのか、

「僕はもう持っているので、もらってください」

と言われ、私は本を受け取ってしまいました。

 

帰りの電車に揺られながら、何が何でも断るべきだったのかどうか考えましたが、頂いてしまったものは仕方ありません。

プレゼントってもっと嬉しいものかと思いましたが、望んでいないものをもらうことは、案外重荷でしかないのだなぁ、と思いました。

雪下さんとの楽しい食事の時間が、別れ際の5分で台無しになってしまったことを、とても残念に思うのでした。

 
ブログランキングに参加しています。応援していただけると励みになります。
にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ



Sponserd Link
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

コメントを残す


CAPTCHA