「この前会ったとき、私のこと好きって言ってくれたよね?」
私は、なるべく重くならないような口調で、そして、笑顔を心掛けて池田さんに言いました。
池田さんと目が合って、池田さんが真剣な表情をしているのがわかりました。
私はその空気の変わり方に耐えれなくて、すぐに視線をそらしてしまいました。
「言ったね」
池田さんは静かにそう言いました。
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あれ、どう話そうと思っていたんだっけ?
その時、私はちょっと自分のしようと思っていた話の道筋を、見失ってしまいました。
だったら付き合おうよ、でいいんだっけ?
いや、それだと結婚前提かわからないし、でも、池田さんは結婚はしばらく考えれないって言ってたから、結婚前提でって言ったら確実に断られるよね?
どうすればいいんだっけ。。。。
いい年して情けない話なんですが、私はちょっとパニックになってしまったのです。
池田さんはじっと私の次の言葉を待っているようでした。
でも、私には次の言葉が見つからない。
おそらく数十秒のことだったと思うのですが、沈黙が重く、何分もたったかのように感じました。
「好きだって言ったのは、本当だよ」
しばらくして池田さんがそういいました。
その時、呼んでもいない店員さんがやってきて、「お飲み物のお替りいかがですか?」と言いました。
「なんか飲む?」
池田さんに聞かれ、「いい」と言いました。
「すみません、大丈夫です。お会計お願いできますか?」
と、池田さんは言いました。
「男なんで僕が出すから大丈夫だよ」
そういって、池田さんはお財布を手に取りました。
私も、池田さんを「年下」だと思って過度に意識するのはやめようと思っていたので、「ごちそうさまです。ありがとうございます」と言うことができました。
結局、私はそれ以上何も言い出すことができないまま、その日は解散しました。
最後の最後で楽しい雰囲気に水を差してしまっただけとなりました。
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